2022年1月25日
 

気候と大規模自然災害レポート：2021年版を発表

• 2021年の世界の大規模自然災害による経済損失は、2020年の2,970億米ドルから3,430億米ドルに増加した

• ​昨年よりは改善したものの、保険で補償された大規模自然災害による経済損失は38%に留まった

幅広く専門的なソリューションを提供するリーディングカンパニーのAon plc (NYSE: AON) は、「気候と大規模自然災害レポート：2021年版（2021 Weather, Climate and Catastrophe Insight report）を発行しました。このレポートは、大規模自然災害の激甚化・頻発化の状況と、それらの災害がもたらす世界の経済損失が、どのように補償されているのかを分析しています。このレポートのデータは、ビジネスリーダーが、大規模災害リスクを定量化して認識し、気候の変動が大きくなる中でいかにして組織のレジリエンスを強化するべきかを検討するための土台作りに役立てていただくことができます。  
レポートによれば、2021年の大規模自然災害による経済損失は3,430億米ドルで、そのうち3,290億米ドルが気象関連の災害でした。昨年の損害額は、インフレ調整後で、史上3番目となりました。2020年から損害額は増加したものの、大規模損害の件数自体はわずかに減少、災害1件当たりの高額化、激甚化が顕著となりました。2021年の損害のうち、保険で補償されたのはわずか38%でした。2020年と比べて損害額は増加しましたが、プロテクションギャップ（保険で補償されない経済損失の割合）は、63%から62%に低下しました。

Aonのプレジデントを務めるEric Andersenは、「気候リスクに関しては、プロテクションギャップと共に、明らかにイノベーションギャップが存在する。」と述べています。また、「大規模災害の激甚化が進行する中、リスクを評価したうえで、リスクに対する最善の体制を整えることは、単に過去のデータに依存するだけではできません。変化し続ける気候の変動を把握するために継続的に学習し、進化する人工知能（AI）や予測モデルなどのテクノロジーに目を向ける必要があります。組織が相互関連性の高い、ボラティリティの高いリスクに直面する頻度がさらに高まってゆくなか、弊社は、スケーラブルな（拡張性のある）ソリューションの提供によって、組織のレジリエンス強化を可能とするより優れた意思決定をサポートさせていただくことができます。」とも述べています。


レポートが明らかにしたその他の主なポイントは以下のとおりです

• 2021年の大規模災害の件数は、2020年の416件から401件に減少した。
• 10億米ドル超の経済損失は50件に上り、過去4番目の記録となったが、同規模の保険損害は20件にとどまった。
• 7月のヨーロッパの洪水の経済損失は460億米ドルに上り、ヨーロッパ大陸で過去最大の損害となった。
• 山火事は、火災の急速な拡大を促す気象条件が揃ったことでより顕著となった。危険な山火事は、一年中顕在化する可能性があり、「山火事シーズン」という言葉は明らかに過去のものとなった。
• ドイツ、ベルギー、オーストリア、ルクセンブルグ、中国において、保険損害が過去最高を記録した。
• 2021年は、陸上と海上の気温が20世紀の平均を0.84°C（1.51°F）上回り、過去6番目の温暖な年となった。
• 信頼できる測定値として、地球上の観測史上過去最高気温となる54.4°C (130.0°F) が、2021年7月9日、米国カリフォルニア州のデスバレーで非公式に観測された。

気象学者で、AonのCatastrophe Insightのヘッドを務めるSteve Bowenは、「グローバルコミュニティの多くがよりボラティリティの高い気象状況にさらされており、気候変動の影響がより強まったことが、その原因のひとつとなっています。過去の記録を塗り替えるような極端な気温の変化、降雨と洪水、干ばつと山火事、そして、強大化する熱帯低気圧、シーズンを過ぎて発生する対流性暴風雨などがこの事実を例証しています。」と述べています。さらに続けて、「私たちにはもはや、過去の気候状況に基づくだけの対応や計画をして済ませる猶予はありません。新たな状況下では、物的損害のコストの上昇とともに、サプライチェーンをはじめ、さまざまな人道支援、財政支援の世界規模の断絶が長期化することとなります。災害に関連した新たなボラティリティが出現している中、リスクに的確に対処し、最小化するには、民間組織と政府には、将来に向け、サステナビリティと災害リスクの軽減（防災・減災）に向けた努力を継続することが求められているのです。」と述べています。


2021年の世界の経済損害トップ10



レポートの全文とショートビデオが、弊社のインターラクティヴ・マイクロサイト でご覧いただけます。また、最新のあるいは過去の大規模自然災害データおよび災害分析については、catastropheinsight.aon.com  にアクセスしてご覧くださいますようお願いいたします。