リコールリスクへのソリューション
完成品メーカーのみならず、部品・材料メーカーであっても避けることができないリコールリスク対策をサポートします。
リコールとは、市場に供給された製品に何らかの不具合が生じ、それにより対人・対物事故の危険性が生じた際に消費者にその旨を通知したうえで市場から製品を回収することですが、通常の生産物賠償責任保険(PL保険)では補償の対象になっていません。
近年では、消費者の意識向上やSNSの発達等により、リコールの必要性が生じた際の対応を誤ると、信用の失墜や風評リスクにも繋がるため、適切に対応できる態勢を整えておくことが以前にも増して重要になっています。
一般的なPL保険のリコール特約と個別のリコール保険の違い
PL保険への特約付帯により補償の対象にすることも可能ですが、補償適用の要件に大きな相違があるため、想定される事故が対象になるか確認しておくことが必要です。
例えば一般的なPL保険の特約は、実際に対人/対物事故が発生している場合のみ補償適用の対象となり、事故発生のおそれの段階では対象となりません。
項目 |
PL保険の特約 |
個別のリコール保険 |
トリガー |
対人事故/対物事故の発生に伴う製品リコール |
対人事故/対物事故の発生またはそのおそれに伴う製品のリコール |
リコールの要件 |
- 記名被保険者(または部品等の場合は部品等の納入先)の決定
- 政府機関の命令
|
- 記名被保険者(または部品等の場合は部品等の納入先)の決定
- 政府機関の命令
- 品質基準に達しないこと(オプション)
|
補償対象期間 |
原則としてリコール開始から1年以内に負担した費用のみ対象 |
補償対象となる期間は個別に設定 |
支払限度額 |
PL保険の支払限度額の内枠(20%程度が上限)で設定 |
支払限度額は個別に設定 |
補償項目 |
補償内容 |
PL保険の特約 |
個別のリコール保険 |
製品の回収
に関わる費用 |
身体障害・財物損壊の発生(おそれを含む)における費用を補償 |
○ |
○ |
回収生産物の輸送費用 |
○ |
○ |
回収生産物の廃棄費用 |
○ |
○ |
貯蔵場所の貸借費用 |
○ |
○ |
通常の人件費を超える人件費(残業代、臨時職員給与等) |
○ |
○ |
生産物回収に伴う出張費および宿泊費 |
○ |
○ |
回収対象生産物の発見、追跡、分類に要した費用 |
△ |
○ |
生産物が回収生産物であるか否かについて、または生産物のかしの有無について確認するための費用 |
△ |
○ |
回収により中止となった宣伝および販売促進プログラムのキャンセル費用 |
× |
○ |
事前承認したコンサルタントおよびアドバイザー費用 |
× |
○ |
回収製品の修理等に関わる費用 |
製品購入者への返金額 |
× |
○ |
回収生産物の修理費用 |
× |
○ |
未販売品の修理費用 |
× |
○ |
代替品の生産・取得費用(製造原価・仕入原価)、輸送費用 |
× |
○ |
販売前完成在庫品廃棄費用(販売できる状態にする為の修理が出来ない場合に適応される) |
× |
○ |
※保険会社により特約名称・保険適用条件・補償内容は異なります。
部品、原材料メーカーのリコールリスク
市場に供給された製品に安全性の問題が生じ製品を回収する場合、リコールの実施を決定するのもリコールに伴うさまざまな対応(消費者への告知、製品回収、交換や修理)を行うのも完成品メーカーとなります。
それでは、部品や原料品メーカーにはリコールリスクがないのかといえばそうではありません。
リコールの対応を完成品メーカーが実施した場合も、製品安全性の問題の原因が部品や原材料にある場合は、完成品メーカーはリコール費用の一部または全部について部品メーカーに求償します。この部品メーカーが完成品メーカーに対するリコールの損害賠償を負担することを第三者リコールと言います。
自動車のように完成までの工程が複雑で複数社の工程を経る場合は、求償される部品交換費用は納入した部品代に止まらず、交換可能なユニットの単位(アッセンブリユニット)になりますので納入部品の単価は低くても予想もしない高額な請求になることが考えられます。
また、製品の安全性には問題がなくても、商品性・品質の改善措置を行うサービスキャンペーンを実施することもあります。そのようなリスクに適切に備えるためには、自社製品の完成品の中での位置づけを正しく理解することが重要です。
引当金対策としてのリコール保険
将来のリコールによる会計上の影響度を軽減するため、製品保証引当金を計上して準備するケースも多いと思います。
しかし、引当金の場合は「損金性がない」「引当金を超える損害は特別損失になる」等のデメリットがあります。
一方リコール保険の場合は、「損金計上可能」「巨額損害の平準化」「貸借対照表からの切り離しが可能(オフバランス化)」等のメリットを享受することが可能です。
もちろん実際にキャッシュアウトが生じる等保険化によるデメリットもありますので、リコール保険の活用が全ての面でメリットがあるというものではありませんが、メリット・デメリットを検討した上で、対策を講じることが重要です。
リコール保険の手配
リコール保険手配にあたっては、リコールを実施した際に想定される費用を元に支払い限度額を設定しますが、一定以上の高額な支払限度額を要する場合は保険会社1社では引受が困難または保険料が高額になることが想定されます。またお客様の業種によっては、第三者リコールの担保やサービスキャンペーンの担保が必要になってきます。
保険会社によって積極的に引受を行う業種や補償内容が異なるため、有利な条件で有効な補償を確保するためには、保険会社毎の商品内容や引受スタンスを熟知した保険ブローカーを起用することが望ましいと言えます。エーオンでは、日系保険会社、外資系保険会社の幅広いネットワークを生かし、複数の保険会社の組み合わせ等も考慮に入れてお客様にとって最適な保険プログラムの構築をサポート致します。
<リコール保険手配の一例>
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